始めに
フィードバックはリーダーが持っておくべき重要なスキルの1つです。適切なフィードバックを行うことで、部下の自信やモチベーションを向上させることが出来ます。それを通して、部下が持つと潜在能力を最大限に引き出すことが可能になります。
しかし、フィードバックとは単に仕事の成果に対する評価を伝えることではありません。個人的な成長を促すための具体的なアドバイスやサポートを含むものでなくてはなりません。
本記事では、「部下を育てる良いフィードバックとは何か?」について考えていきます。フィードバックがそもそも何故有効である理由、それが部下や組織全体の成功にどのように貢献するかについて考えてみましょう。
本記事のポイント
・フィードバックはリーダーが持っておくべき重要なスキルの1つである。適切なフィードバックを行うことで、部下の自信やモチベーションを向上させることが出来る。
・適切なフィードバックを行うには、部下の成長と幸福を願う気持ちを持つことが前提になる。
・フィードバックでは相手の価値観を理解した上で、相手の視野を広げる機会にもなる。但し、話す以上に聴くことにも意識を向けることが重要である。
学びを身に付けるために実践したいこと
難易度 1: 簡単に始められる行動
1. 部下がどんなに小さなことでも良い仕事をした際には、具体的なフィードバックとして伝える(毎日1回以上を心掛ける)。これにより、信頼関係の構築とポジティブな職場環境を作る。
難易度 2: 少し努力が必要な行動
2. 部下の成長やキャリアの目標について話し合う1 on 1の時間を設ける。これにより、部下が現在直面している課題や将来の目標について深く理解し、適切な支援が何かを考える。
3. フィードバックをする前に、部下の意見や感じていることを積極的に聞く。
難易度 3: 継続的な努力が必要な行動
4. 部下の努力や進歩の過程を正しく評価する。結果だけでなく、そこに至るまでの努力や工夫も重要視することで、部下のモチベーションを支え、成長を促す。
5. 部下が自らの課題に対して主体的に考え、解決策を見出すようサポートする。答えをすぐに与えず、部下が自ら考えるプロセスを重視する。
本記事で学んでほしいこと
フィードバックはリーダーが持っておくべき重要なスキルの1つです。適切なフィードバックを行うことで、部下の自信やモチベーションを向上させることが出来ます。それを通して、部下が持つと潜在能力を最大限に引き出すことが可能になります。
しかし、フィードバックとは単に仕事の成果に対する評価を伝えることではありません。個人的な成長を促すための具体的なアドバイスやサポートを含むものでなくてはなりません。
以下では、「部下を育てる良いフィードバックとは何か?」について考えていきます。
部下の成長を願う気持ちが前提
フィードバックで最も重要なことは、部下の成長を支援し、幸福を願う気持ちを持つことです。適切な方法などのテクニックは重要ではありません。
人間を中心とした組織と仕事を中心にした組織
フィードバックによって部下を育成し、組織を成長させるには、人間を中心とした組織文化を作ることが重要です。部下の成長こそが組織の発展の鍵を握ります。そのため、部下へ適切なフィードバックを行いましょう。その第一歩は、部下を深く理解することです。
やりがいのある仕事とは何か、何を仕事に求めているか、を理解しましょう。こうした理解を通じて、適切な仕事と成長機会を与え、部下の満足感と成長を感じさせることが重要です。
これの対極にあるものが、仕事を中心とした組織です。会社の存在には意義があり、会社には達成する目標があります。そのためこの目標を組織の中心に置き、い人を配置する考え方は多くの日本企業で採用されてきました。
しかし、これでは部下の気持ちは動きません。残念ながら、会社の目的だけで多くの部下は頑張れないことを知ることは重要な点です。
成長を促す
フィードバックとは、出来なかった点を指摘する批判の機会ではありません。成長を促す機会として考えましょう。
そのために、部下に考えさせる時間とすると良いでしょう。例えば、「この課題をどう解決するか?」と問いかけることで、部下に自ら考えさせることができます。
※但し、この質問をしながらも上司の答えに誘導するような行動や考えは許されません。あくまで部下が考える解決策を聞き出すことが大切です。
初めは上司の自分が納得できる答えは返ってこないかもしれません。しかし、それでも見守り、部下の行動を支援し続けることが重要です。部下が主体的に考えた上での思考錯誤のサイクルを止めてはいけません。試行錯誤の連続の先にこそ、成長し自立した部下の未来の姿が存在し得るからです。
フィードバックの原則
フィードバックをする際には、以下の5点を知っておくことが重要です。
① 相手に伝わる量は相手との信頼関係 (=ラポール) と比例する。
② 相手の可能性を信じる
③ 結果でなく、プロセスを評価する
④ アドバイスはしない (質問を投げかけて考えさせる)
⑤ 部下に対して「分かった・理解した」という気持ちを持たない。「分かった・理解した」つもりになっては、それ以上の部下の成長はない。
⑥ 一方通行でなく、双方向でフィードバックを行い、関係性を向上させる。
部下の視野を広げる
フィードバックでは相手の価値観を理解した上で、相手の視野を広げる機会でもあります。特にネガティブな発想をリフレーミングする機会とすると良いでしょう。
例えば、以下の様な質問は視野を広げる上で有効です。
「その思い込みによって得していることは何か??? 」
「逆に、その思い込みによって損をしていることは何か??? 」です。
話すことよりも聴く
フィードバックというと、上司が一方的に話す場面が浮かびます。しかし、これは理想的な状況ではありません。話す以上に聴くことが重要です。
聴くとは相手の話を漫然と耳にするのではありません。聴くとは相手の感情を理解することです。人に焦点を当てる限りは、感情を切り離すことは出来ません。
フィードバックを通じて、部下から発言を引き出し、その発言の奥にある気持ちを理解しましょう。その上で、「どうしたら目の前の部下が成長できるか」を考えることが重要です。何があっても、部下を信じ、応援する気持ちを失ってはなりません。
フィードバックに横の関係を利用する
上司から部下へフィードバックを行っても、その場限りで理解したふりをして、行動を変えない部下がいることもまた事実です。その場合には、フィードバックをヨコ関係を利用して行うことも有効な手段です。
横の関係とは、「〇〇さんならどうやると思う???」といった横の関係を意識させる方法があります。また、直接チームメンバーからフィードバックを相互に行わせるという手段も考えられます。
相手を心から信じて任せる
良いフィードバックとは、人の成長に焦点を当て、どうしたら部下が成長できるかの点での言葉のキャッチボールを行うことともいえます。
適切なフィードバックを行うには、部下を先ずは信じることが基本です。信じるとは、期待する点は任せ、成功に向けて応援するということです。さらに言えば、任せる上で責任を取らせる覚悟を上司も持つことです。最終的な責任は上司にありますが、「任せる=責任は部下にある」ことを理解させることも重要なことです。
任せた際には、以下の様な点に配慮すると良いでしょう。
① 答えを与えない
② 完璧を求めない
③ 成果のイメージを事前に共有しておく