部下の自発性をどう導くか

組織

始めに

 上司の役割とは、指示を出し結果を期待することではありません。部下が自ら進んで行動し、組織全体の成長と成功に導くように働きかけることが上司の役割です。

 部下の自発性は部下の個人の能力に起因するものではありません。むしろ、上司自身の能力によって決まります。上司は部下の内発的モチベーションを理解し、それを高める方法を見つけなければなりません。

 本記事では、「部下の自発性をどう導くか」を取り上げます。部下の自発性を導くことは、上司にとって最も重要なスキルの1つであり、上司自身が模範とならなくてはなりません。そのため、絶えず学び続ける必要があります。それでは、上司がどのようにして部下の自主性を引き出し、組織の成果を最大化できるかについて考えてみましょう。

本記事のポイント

上司の役割は、指示を出し結果を期待することではない。部下が自ら進んで行動し、組織全体の成長と成功に導くように働きかけることである。

そのためには、まずは部下を知ることから始める。そして、必要な援助を提供する。また、自発性を発揮できるように、部下のストレス源や障害を取り除くことは上司しか出来ない仕事である。部下の成長に向けてアドバイスやサポートも行う。

日常のこれらを繰り返すことで部下との信頼関係を構築する。

これら繰り返すことで、部下の自発性は育っていく。

学びを身に付けるために実践したいこと

難易度 1: 簡単に始められる行動

1. 非公式であっても良いので、部下と1on1の時間を設ける。1on1では、業務以外の話も含めて部下の価値観や目標、業務での困りごとについて聞く。

難易度 2: 少し努力が必要な行動

2. 部下が持つアイデアや提案を真剣に検討し、可能な限り実行に移す。これによって、部下の自己決定能力を高め、部下が自身影響力を感じることが出来る。結果、組織への貢献意欲を高めることが出来る。

3. 部下の強みや関心を理解し、それに基づいて業務を割り当てる。これにより、部下は自分の能力を最大限に発揮できるようになり、自発的に業務に取り組めるようになる。

難易度 3: 継続的な努力が必要な行動

4. 部下と一緒に中長期的なキャリア目標を話し合う。達成するための具体的なステップを一緒に計画する。このプロセスを通じて、部下が自己成長に対する責任感を持ち、自主的な学習と成長を続けるようにする。

5. 定期的に建設的なフィードバックを提供し、部下の成功を認めて称賛する。これにより。ポジティブな職場の文化を作る。ポジティブな組織文化は、部下が失敗を恐れず挑戦をする後押しとなる。

本記事で学んでほしいこと

 上司の役割とは、指示を出し結果を期待することではありません。部下が自ら進んで行動し、組織全体の成長と成功に導くように働きかけることが上司の役割です。

 自律性は部下の個人的な能力に起因するものではありません。むしろ、上司自身の能力によって大きく左右されます。その能力とは部下の内発的モチベーションを理解し、それを高めることです。

 部下の自発性を導くことは上司にとって最も重要なスキルです。このスキルを磨くには、上司自身が模範となり、絶えず学び続けることが求められます。それでは、上司がどのようにして部下の自主性を引き出し、組織の成果を最大化できるかについて考えてみましょう。

部下を正しく理解する

 先ずは、部下の能力や経験を正確に評価し、部下を正しく理解することです。これがなければ、適切な指導やサポートを提供することは出来ません。

 部下を正しくするためには、部下との対話の時間が必要です。対話とは、向かい合って業務の話をする時間ではありません。むしろ、業務以外の相手の価値観や想いを知る時間です。それゆえ、自分が話をする時間ではなく、相手の話を聴く時間と考えましょう。

部下の話を真剣に聴く

 相手を知るためには、相手を尊重し、相手の話を真剣に聴くことが重要です。形式的なものならばむしろそのような時間は無駄に過ぎません(止めてしまいましょう)。対話で部下の話を真剣に聴けば、内容に対して質問も出来ます。それを通して、部下の意見や信念を理解することが出来ます。同意する必要ありませんが、部下に共感し理解を示すことは重要です。

 上司のあなたにとってはレベルの低い内容の話かもしれません。しかし、それは全く関係ありません。むしろ始めから高いレベルの対話が出来ると期待することは愚かなことです。

 対話時間の最後に、今の業務や仕事で困っていることや今後の希望を聴くと良いでしょう。そうすると、部下を知りながらも、上司として今何が出来るかを考えることが出来ます。

部下を助ける

 部下を知ることが出来たのならば、業務上で必要な援助があるか否かがわかります。もし、援助が必要ならば、部下に提案や働きかけを行ってみましょう。任せている業務を自発的に進めてもらうためには、命令や指示に頼ってはいけません。あくまで行動する部下が主体的に動けるように、自発性を妨げている外的要因を取り除いてあげることに集中しましょう。

 例えば、別の部下が業務の遂行に協力できるように、上司から別の部下に働きかけることなどがあります。自発性を阻害している外的要因を除くことが出来れば、部下は自己決定をし、行動してみようと気持ちも変わるはずです。

 1度でうまく行かなくとも諦めてはいけません。何度も繰り返しましょう。何度も繰り返すことで、上司自身が真剣に部下を助けようとしていることは伝わるはずです。

目先の業務だけでなく将来についても考えさせる

 部下を真に成長させる(あらゆる場面で自発性を持って取り組めるマインドを育てる)ためには、部下自身に成長やキャリアアップについて考えさせましょう。

 中期的な目標や成長プランの作成に部下自身を参加させることは有効な策です。この先、どう成長していきたいかを部下自身に考えさせましょう。そして、それに加え上司として身に付けてほしい成長の領域を加えてましょう。最後に相互で合意できると良いでしょう。

 成長にあたっては、上司自身が自己啓発や学習の取り組み姿勢を見せることが重要です。そうすれば、部下自身もその行動をフォローします。目標を決めても動かない場合には、自己啓発や学習の重要性を部下に伝えることも必要です。

いつでも応援していることを感じさせる

 困った時には上司がいつでも助けてくれると、部下から信じてもらえる関係が必要です。逆に、上司から叱責を受けるような組織では部下は自発性を発揮できません。真剣に取り組んだ結果として失敗したならば、どのような結果であれ最後には部下を守りましょう。

 そのようなリーダーの姿勢は、組織の安心感の醸成に必要です。

 しかし、この様な信頼感は1日にしては構築できません。やはり、部下との定期的なコミュニケーションの時間が必要です。定期的に面談を行い、部下の意見や要望に耳を傾けましょう。そして、常に応援し成長を後押ししましょう。その積み重ねを経て、信頼関係は築かれていきます。

リーダーに求められるもの

 リーダーが行うことは指示と命令ではありません。部下のパートナーとして、支援、尊重、そして共同で前進することです。

 繰り返しになりますが、まずは部下を知りましょう。そして、必要な援助を提供しましょう。業務を進める上で十分な情報を提供することも重要です。そして、部下同士の協力や助け合いを促しましょう。上司自身が率先して、他の部下の援助に乗り出すことは大きな意味があります。

 部下が自発性を発揮できるように、部下のストレス源や障害を取り除くことも忘れてはなりません。間違っても上司自身がストレス源や障害と思われないようにしましょう。

 そして、部下の成長に向けてアドバイスやサポートを行いましょう。さらに、課題に対して適切なフィードバックを行い、部下が自己改善を行えるように支援しましょう。あくまで成長を願っての行動に基づくものでないといけません。

 このアプローチを繰り返すことで、部下は自ら進んで新しい挑戦に取り組めるようになります。それが普通となれば、組織の成長と成功につながっていきます。

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