現代社会における豊かさと幸福の関係

一般教養

始めに

 現代社会では物質的な豊かさはかつてないほどに増大しています。私たちは過去のどの世代よりも多くの物やサービスを手に入れることができるようになりました。

 しかし、この物質的な豊かさが必ずしも私たちの幸福に直結しているわけではないようです。むしろ、物質的に豊かになったが故に、精神的な満足や幸福感を得ることが難しくなっている人も少なくありません。 このパラドックスは、現代社会における豊かさと幸福の関係を考える上で重要です。一体なぜ、物質的な豊かさは私たちの幸福感を高めることができないのでしょうか?

 この記事では、「豊かさと幸福の違いは何か?」という基本的な違いから考えましょう。その後、「幸福になるためにはどうすればよいか?」について考えていきましょう。

本記事のポイント

物質的な豊かさは私たちの幸福に直接つながるわけではない。むしろ、物質的に豊かになったことで、精神的な満足や幸福感を感じにくくなっている人も少なくありません。

豊かさは資産や経済的な余裕を指すが、幸福はより主観的で、個人の内面的な満足に関係する。言いかえれば、幸福かどうかであるかは自己の思考(自分の気持ち次第)できまる。

現代社会では、より裕福や幸せそうに見える人が自分の周りに存在する。そのため、「他人は皆幸せである」「人生はもっと幸せであるべきだ」という認知の歪みが発生する。そのような思考の歪みから脱することが幸福になるためには必要である。

思考に過度に囚われず、「今」を全力で生き、幸福であるための強い意志を持ち続けることが重要である。

学びを身に付けるために実践したいこと

難易度 1: 簡単に始められる行動

1. 毎日、小さなことでも感謝できる3つのことを書き留める。これにより、物質的なもの以外での幸福を見出すヒントを探す。

難易度 2: 少し努力が必要な行動

2. 週に1日、スマートフォンやコンピューターから離れて過ごす時間を設ける。この時間を利用して、家族や友人との直接的な関わりや趣味を行い、人間関係や自己実現における満足感を高めます。

3. 地域社会でのボランティア活動に参加し、物質的な豊かさとは異なる形での充実感を体験してみる(他者への奉仕は自己の幸福感を高めることが科学的にも証明されている)。

難易度 3: 継続的な努力が必要な行動

4. 「アクセプタンス&コミットメント・セラピー」を行ってみる。今に集中することと自分の本当の価値観を見直すことで、内面の平和を維持する。

本記事で学んでほしいこと

 現代社会では物質的な豊かさは最も高いレベルに達しています。私たちは過去のどの世代よりも多くの物やサービスを手に入れることができるようになっています。

 しかし、物質的な豊かさが私たちの幸福に直接つながっているわけではないようです。むしろ、物質的に豊かになったことで、精神的な満足や幸福感を感じにくくなっている人も少なくありません。このパラドックスは、現代社会における豊かさと幸福の関係性を深く考える上での重要です。

豊かさと幸福の違い

 なぜ物質的な豊かさが私たちの幸福感を高めないのでしょうか?

 この疑問に答えるためには、「豊かさ」と「幸福」という概念を詳しく理解する必要があります。豊かさは資産や経済的な余裕を指しますが、幸福はより主観的で個人の内面的な満足に関係するからです。

幸福は自己認知に由来する

 現代社会では多くの人が豊かな生活を送りながらも、「幸福」を感じている人は殆どいません。多くの人が思考や認知の歪みによって、幸福から遠ざかっています。

 成人の10%が自殺を試み、30%以上が精神疾患の可能性を抱えています。これは、「他人は皆幸せである」「人生は幸せであるべきだ」という認知の歪みが引き起こしたものと言われいます。この認知の歪みは、放っておくと私たちをさらに不幸にする可能性があります。

認知の歪みを正す

 認知の歪みの罠から脱出する方法の1つが「アクセプタンス&コミットメント・セラピー」です。これは以下の6つのステップで構成されます。これを通して、認知の歪みを正し、幸福をより感じやすい思考体系に変えることが出来ます。

アクセプタンス&コミットメント・セラピーの6つのステップ

脱フュージョン

 不快な思考を鎮める方法を学びます。人間は頭に浮かぶ思考を事実と考え、その内容に固執します。しかし、思考は事実ではありません。そのため、思考と現実との錯覚を避けるために、「私は『思考』という考えを持っている」と意識し、思考の客観視を行います。

またその試行は自分にプラスであるかを問いかけましょう。答えがNoならば、捨ててしまいましょう。

拡張

 不快な感情の存在を許します。そして、受け入れ、感情の居場所を作ります。感情は決して無視せず、あるがままに受け入れます。

接続

 現在の経験に完全に集中し、邪魔されることなく「今・ここ」に注意を向けます。思考と目の前の「今・ここ」を明確に意識し、「今・ここ」で起こっていることにのみ注意をむけます。

自己の観察

 自己観察を通じて、観察する自己に気づきます(=自分の一連の行動を客観視します)。

価値の確認

 客観視した自分に意識を向け、自分の価値観を明確にします。そして、それに基づいて生きることを自分に誓います。

目標に向かっての行動

 自分の価値観を基に、どうすれば意味ある人生になるかを考えます。そして、それに向けた意志的行動をとります。

幸福を阻害しているもの

 幸福かどうかであるかは自己の思考によって決まります。言いかえれば自分の気持ち次第とも言えます。

 現代社会では、より裕福や幸せそうに見える人が自分の周りに存在します。そのため、「他人は皆幸せである」「人生はもっと幸せであるべきだ」という認知の歪みにつながっていきます。こういった思考は事実とは異なりますが、人間は思考に強く依存してしまうため、結果として幸福ではない状態になっています。

 そのような思考の歪みから脱することが幸福になるためには必要です。今目の前に起こっている事実に目を向けましょう。また、自分の価値観を明確にしましょう。

 それに対して前向きな行動することで、幸福への道を見出すことができるはずです。重要な点は、思考に過度に囚われず、「今」を全力で生き、幸福であるための強い意志を持ち続けることです。

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