始めに
量子コンピュータは現代科学技術の最前線に位置しています。その性能は凄まじいものです。実現によって、私たちの生活、産業、さらには思考まで変えると言われています。
しかし、まず量子コンピュータとは一体どのようなものなのでしょうか?現在のコンピュータと何が異なるのでしょうか?また、どのように世界を変えるのでしょうか?多くの疑問点があります。
この記事では、「量子コンピュータとは何か?」という基本的な問いから始め、その可能性について考えます。その後、「量子コンピュータによって世界がどのように変わるか?」について考えていきましょう。
本記事のポイント
・量子コンピュータは、従来のコンピュータとは全く異なる原理に基づいている。
・量子コンピュータでは、能力が1ビット上がることに「2のn乗」分だけ性能が向上する。それ故、n=280(2の280)になると宇宙に存在する全ての原子数と同数となる。つまり、原理上計算できないものがなくなる。
・現コンピュータでは膨大な時間が掛かり、多くの問題を解決することが出来ていない。しかし、量子コンピュータはこれまで解決不可能だった問題も解決できる(期待される)。
・量子コンピュータの開発は近年急速に進んでいるが、実現のハードルが非常に高い。実現は15~20年以上先になると考えられている。
学びを身に付けるために実践したいこと
難易度 1: 簡単に始められる行動
1. 量子コンピューティングの基本を学び、この分野の最新の進歩について定期的に情報を収集する。
難易度 2: 少し努力が必要な行動(専門家を目指すならば)
2. 量子コンピューティングに関連するプログラミング言語を学ぶ。例えば、QiskitやMicrosoftのQuantum Development Kitなどを学ぶ。
難易度 3: 継続的な努力が必要な行動(専門家を目指すならば)
3. 学術的な研究や、量子コンピューティングを活用したプロジェクトに参加する。大学や研究機関、企業が主催する研究プログラムやインターンシップに応募し、実際の量子コンピューティングの問題解決に挑戦してみる。
本記事で学んでほしいこと
量子コンピュータは、現代科学技術の最先端に位置しています。その発展が私たちの生活、産業、そして思考方法すらも変えてしまうと言われています。
この記事では、以下の内容について説明していきます。
①量子コンピュータとは一体どのようなものか?
②現在のコンピュータと何が異なるのか?
③また、どのように世界を変えるのか?
量子コンピュータとは何か?
量子コンピュータは、従来のコンピュータとは全く異なる原理に基づいています。
現在のコンピュータは、0または1の情報を扱うビットによって動作します。しかし、量子コンピュータでは、「クビット」と呼ばれる量子ビットを使用します。これにより0と1の状態を同時に取ることができる「重ね合わせ」という状態が利用できます。さらに、「量子もつれ」という現象により、複数のクビットが互いに密接に関連する状態も利用できます。
これらによって、従来のコンピュータでは不可能だった処理が可能になります。
従来のコンピュータとの違い
現在のコンピュータとの違いを理解するためには、以下の説明の方が良いでしょう。
量子コンピュータでは、能力が1ビット上がることに「2のn乗」分だけ性能が向上します。それ故、n=280(2の280)になると宇宙に存在する全原子数と同数になります。つまり、原理上無限の状態を構築できます(=計算できないものがなくなります)。
この様なレベルには、現コンピュータでは到達することは原理的に不可能です。
現在のコンピュータでは膨大な時間が掛かり多くの問題を解決することは出来ていません。しかし、量子コンピュータならば、これまで解決が不可能だった問題解決できるようになります。しかも、その処理速度は凄まじく、瞬時に処理終了する能力を持ちます。
今後の利用と世界への影響
量子コンピュータの開発が実現すれば、その応用範囲は無限の可能性があります。
例えば、医療分野での新薬開発の加速、より正確な気象予報、情報通信の安全性の向上など、社会の多方面に影響を与えると予想されています。他には量子暗号技術により、情報の安全性は根本から変わるといわれています。
未来への展望
量子コンピュータの開発は、量子状態を安定させる難しい技術課題を抱えています。
例えば、量子状態は非常に壊れやすく、微細な環境変化によってその状態が崩れます。このため、量子コンピュータを作動させるためには、量子状態を安定化する技術が必要です。
安定化の技術ハードル例
量子状態を維持するには絶対零度に近い温度を維持する必要があります。通常のコンピュータサイズでも、作動には体育館程度の保冷環境が必要です。※体育館のサイズで絶対零度の条件を維持し続けなければなりません。
これは現在現実的にかなり難しい問題です。又処理に伴って、量子自体の運動に伴う発熱の問題もあります。つまり、処理に伴って量子運動が起こり、その運動自体が熱源となってしまいます。つまり、作動には原理上、熱の発生を避けられないという根本的な問題があります。※保冷しないと作動しないが、そもそもの作動事態で量子から熱が発生してしまう。
実用化後のリスク
仮に量子コンピュータが実現したとしても、その性能が悪用されるリスクも指摘されています。そのため、耐量子暗号技術の開発など、倫理的、技術的対策も同時に進める必要があります。
実現する時期
量子コンピュータの開発は近年急速に進んでおり、将来的には実現する可能性があると考えられるようになりました。しかし、いまだにその実現は15~20年以上先と考えられています。
しかし、既に述べたように実現時の可能性は無限大です。そのため、この技術が開く未来は私たちの想像を遥かに超えるものになると予想されます。量子コンピュータ実現後の未来は、新たな発見とイノベーションの時代の幕開け時期になるといえるでしょう。