食事をとる時間を軽視してはいけない

健康

始めに

 食べる内容や運動の習慣が、私たちの健康に及ぼすことはよく知られている内容です。しかし、これらが健康を左右する全ての要素ではありません。実は、いつ食事をするかという点は健康に対して重要な要素です。日々の忙しさに追われる中で、私たちは食事をいつとるのかを軽視してしまいがちです。しかし、この小さな習慣が健康を大きく左右します。

 この記事では、食事をする時間の重要性を再考します。健康的に痩せたい、または健康な肉体を維持したいという目標に対して、時間的な観点でのアドバイスをします。実は食事の時間を見直すことで、健康的な生活へと繋がる新たな一歩を踏み出せます

 それでは、「食事の時間が健康に及ぼす影響」について考えてみましょう。

本記事のポイント

食事をとる時間は健康に対して重要な役割を果たす。

体内時計には「主時計」と、それを補助する「抹消時計」がある。両者を適切に機能することで健康を維持できる。そのために、食事をとる時間は大きな影響を与える。

体内時計は24.5時間周期で動いている。0.5時間ずつ時間がズレるため、毎朝リセットが必要である。リセットに有効なものが、「日光を浴びること」と「朝食をとること」である。

多くの社会人にとってベストな食事時間は、以下のとおりである。毎日完全に達成できなくとも、意識して実践することが重要である。難しい場合には、対策を考えると良い。

 朝食:6時から8時頃
 昼食:11時半から13時頃
 夕食:18時半から20時まで。特に就寝の3時間前までには済ませておくと良い。

運動にもベストな時間がある。食事と運動時間を意識することで、健康的な生活を送るための基盤を築くことができる。

学びを身に付けるために実践したいこと

難易度 1: 簡単に始められる行動

1. 毎朝、日光を浴びて体内時計をリセットする。例えば、窓際でコーヒーを飲む、短い散歩をするを習慣とする。

2. 可能な範囲で毎日同じ時間に朝食、昼食、夕食を取るように心がける。

難易度 2: 少し努力が必要な行動

3. どんなに忙しくても朝食を摂る。簡単な果物やヨーグルトでも良いので、毎朝何かを食べることを習慣にする。

4. 昼食後に10分程度の軽い散歩をする。これにより、午後の仕事の生産性を上げ、同時に運動不足解消につなげる。

難易度 3: 継続的な努力が必要な行動

5. 夕食は就寝の3時間前までには終わらせる。忙しい日には、会社で糖質を先に摂取する習慣を持つ。帰宅後は食事を控えるか、たんぱく質や野菜を含む食事のみにする。

本記事で学んでほしいこと

 食事の内容や運動習慣が私たちの健康に与える影響は広く認識されています。しかし、これらは健康維持のための唯一の要素ではありません。

 意外に思われるかもしれませんが、食事をとる時間は健康に対して極めて重要な役割を果たします。日常の慌ただしさの中で、食事の時間に対する注意がおろそかになりがちです。しかし、この食事の時間に意識を向けることは、健康を維持するうえでも非常に重要です。

 以下では、食事をとる時間の重要性に焦点を当てます。そして、健康的に痩せることや健康な体を維持するための時間的アドバイスをします。食事をとる時間を見直すことで、健康的な生活への新たな一歩を踏み出すことが可能です。

体のリズムを作る2つの体内時計

 時間栄養学や運動学といった分野では、体内時計と健康の関係が研究されています。それらの研究の中で分かったことは、体内時計には2つ存在するということです。

 体の主要なリズムを制御する「主時計」と、それを補助する「抹消時計」がそれらに該当します。これら両者が適切に機能しない場合には健康を維持することが難しくなります。

 両者が適切に働かなければ、健康を維持することは難しくなります。「主時計」は交感神経と副交感神経のバランスを取り、血圧や体温を調整し活動リズムを作る働きがあります。一方で、「抹消時計」は活動リズムが効率的に働くことをサポートする働きがあります。

体内時計をリセットする

 1日は24時間ですが、体内時計は24.5時間周期で動いています。つまり、何もしないと0.5時間ずつ時間が日常生活とズレが生じます。体内時計のズレは日常活動の効率を損ねます。そのため、毎朝0.5時間分のズレをリセットする必要があります。

 このリセットに有効なものが、「日光を浴びること」と「朝食をとること」です。さらに、体内時計は食欲を制御しています。そのため、朝食を抜くと夕食時の食欲が増しという事態が起こります。結果として、肥満や生活習慣病のリスクが高まります。

 この様な点から、朝の起床後に朝食をとることは極めて重要な意味を持つといえます。

おすすめの食事タイミング

朝食

 既に述べたように朝の体内時計のリセットのために、起床後に日光を浴びた後に取ることが最も良いでしょう。ベストな時間は、多くの社会人にとって6時から8時頃になります。

 食事内容は、エネルギー提供と血糖値の安定化のために糖質を含む食事が理想です。

昼食

 朝にエネルギーを摂取すると、昼前後にはエネルギーが少なくなり集中力も下がってきます。早く食べ過ぎても、遅くなりすぎても午後からの活動に支障が生じます。食事時間が遅くなりすぎると、適切な夕食時間もズレます。最終的には、睡眠時間等のズレにもつながります。その観点から、ベストな時間は、多くの社会人にとって11時半から13時頃になります。

 忙しいために昼食を抜く、軽くするといった人もいます。しかしこのような行為は、エネルギー不足を引き起こし午後からの仕事の生産性を損ねます。さらに、飢餓状態になるので夕食後の血糖値が急上昇し、膵臓に強い負担をかけます。昼食は軽視されがちですが、健康のために休憩を兼ね、しっかりした食事をとりましょう。

夕食

 ベストな時間は、多くの社会人にとって18時半から20時までに食べましょう。気を付けたいのは就寝の3時間前までには夕食を済ませておくことです。就寝時に胃の中に多量の食物が残っていると、就寝中に消化を続けることになります。この様な行為は、体に強い負担をかけるだけでなく、睡眠の質を大きく低下させます。

残業等で管理が難しい場合の対策

 ただし、夕食は多くの社会人にとって最も制御が難しい時間とも言えます。残業があまりない職種ならば食事時間を管理することは容易でしょう。しかし、忙しい時期や長時間残業が常態化した職種も多くあります。

 その場合には、夕食前に会社で糖質を先に摂取する習慣を持つことをお勧めします。そして、帰宅後にたんぱく質や野菜を含む食事をとると良いでしょう。そうすることで、夕食後の血糖値の急上昇を緩和し、体への負担は軽減できます。就寝前に胃に残っている食物量も通常よりも減らすことが出来るはずです。

接待等で管理が難しい場合の対策

 また、接待等での平日は外食が多くある社会人もいると思います。接待となれば、お酒も入り遅い時間まで食事をすることも多くなると思います。

 そのような場合には、まずベストな時間はと弊害(※)を意識することが大切です。毎日は無理でも、可能な限りベストな時間に夕食をとる日を増やしましょう。また、22時以降には極力食べ物を口にしない(食べるとしても消化の良いものを意識してとる)なども有効な対策です。
※就寝の3時間前までには夕食を済ませておくこと。また、就寝時に胃の中に多量の食物が残っていると、健康上良くないこと。

食事と運動のベスト時間を組み合わせる 

 運動も健康上重要であることは周知のとおりです。運動についても、ベストな時間があります。

 好ましい時間は、昼から夕方です。この時間帯は体温が高く、脂肪も効率的に燃焼されます。運動不足は筋力の低下やフレイル(虚弱状態)を招きます。そのため、朝にタンパク質を摂取し、夕方に散歩やウォーキングを行うことが最も好ましい習慣です。

 食事と運動時間を意識することで、健康的な生活を送るための基盤を築くことができます。これらを習慣化できれば、健康を長く維持することが可能になります。

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