心理的安全性を実現する4ステップ

組織

始めに

 私たちは、チームやコミュニティの中で協力し合い、共に成長していく努力をしています。この過程で、組織内に最も必要な要素が「心理的安全性」です。

 心理的安全性とは、個人がリスクを取る行動を恐れずに、オープンに意見を表明できる環境を指します。しかし、この理想的な状態を実現することは、想像以上に難しいです。ましてや、一朝一夕に達成できるものではありません。

 今回の記事では、「心理的安全性を実現するステップ」について考えてみましょう。

本記事のポイント

組織内に「心理的安全性があること」は良い結果を出す目的に対して重要である。ただし、多くの要因による阻害があり。この構築は容易ではない。そのため、以下の観点を進めることが「心理的安全性を作る上」で有用である。

<心理的安全性を作る上で有用なステップ>

個人として受け入れられる状態を作る。

主体的に学習と成長に取り組める環境を準備する。

主体的に取り組みを始めた時にはサポートをする。具体的には、惜しみない支持とフィードバックをメンバーに対して提供する。

リスクを負う人に一切のペナルティが与えられないようにメンバーを全力で守る。

学びを身に付けるために実践したいこと

難易度 1: 簡単に始められる行動

1. 会話の際、相手の言葉を注意深く聞き、理解する姿勢を示す。

難易度 2: 少し努力が必要な行動

2. チーム内で定期的にフィードバックの時間を設ける。ポジティブなものもネガティブなものもオープンに共有する。これらを、相互の信頼関係を深める上で役立てる。

難易度 3: 継続的な努力が必要な行動

3. 失敗を非難するのではなく、学びと成長の機会として捉える文化を育てる。

4. 全てのチームメンバーが尊重され、価値が認められる環境を作る。多様性を受け入れる風土を組織内に作る。

5. リーダーが自らをオープンにする。これを通して、他のメンバーも安心して自分の意見や感情を表現できるように働きかける。

本記事で学んでほしいこと

 私たちは日々、組織内で協力し、共に成長するために努力しています。この過程で、組織内に「心理的安全性があること」は重要な役割を果たします。

 これは、個人がリスクを恐れずに意見をオープンに表明できる環境です。しかし、この環境構築は非常に難しいとされています。

「心理的安全性」の確立を阻むもの

 心理的安全性を組織内で構築する難しさは、多くの要因に由来します。例えば、恐怖、不安、過去の経験に基づく偏見などがあげられます。他にも、力の不均衡、競争心、信頼の欠如も個人が自己表現することを阻みます。

 発言によって恥をかく、個人攻撃されると感じてしまうと人は自己表現をしません。そのため、心理的に安全な環境を築くことは、チーム全員にとって大きな挑戦となります。さらに、心理的安全性は一夜にして達成できるものではありません。むしろ、継続的な努力と変革の勇気が必要です。

心理的安全性を実現する4ステップ

 「心理的安全性」を組織内に導入するためには、取り組むべき4つのステップがあります。

 それは、「仲間になりたい」「安心して学びたい」「安心して貢献したい」「安心して現状打破に挑戦したい」という4つのステップを踏む必要があります。これらを実施することで、信頼し合い、支え合う強固な組織体へと進化します。

「仲間になりたい」を推進する

 「仲間になりたい」という気持ちを推進するには、メンバーが個人として受け入れられる状態を作ることが重要です。言いかえれば、メンバーが自分は重要だという認識を組織内で持てるようにすることです。

 これにより、メンバーは自己の価値を認識できます。また、自己を超え、他メンバーに対しても偏見や差別のない気持ちで関わり合うことができます。

「安心して学びたい」を応援する

 「安心して学びたい」という気持ちを応援するには、メンバーが主体的に学習と成長に取り組める環境を準備することです。例えば、挑戦した結果として失敗しても、個人を攻めてはいけません。その挑戦が学びとなるようならば、その失敗からの学びを得るようにすることです。メンバーと共に、失敗した原因を共に考えましょう。そして、組織として失敗からの学びを成長の糧とする姿勢の共有が大切です。

 そのためには、リーダーはメンバーが挑戦する際には、意見に真剣に耳を傾け、建設的に協議する態度が重要です。この段階をクリアするには、「仲間になりたい」で触れたような組織風土が重要です。失敗するかもしれない状況で、前に進んで努力することは多くの人にとって困難です。

 しかし、失敗時にもリスクや社会的/精神的なダメージにさらされないことをメンバー自身が信じていれば状況は異なります。失敗しても大丈夫だと信じられれば、苦しくとも前に進んでいくことができます。もし、この様な風土が当然のものとなれば、主体的に挑戦するメンバーも多くあらわれるでしょう。

「安心して貢献したい」を約束する

 「安心して貢献したい」という気持ちを約束するには、メンバーが主体的に動き出す時のサポートが重要です。具体的には、惜しみない支持とフィードバックをメンバーに対して提供することです。

 ただし、口約束だけでは不十分です。誰もがそれを信じられるように、リーダー自身がその成功に向かって進んで関わり、協力に全力を尽くしていることを示す必要があります。

 リーダーはメンバーの個性を理解し、それぞれが自律性を持って貢献できる環境や援助とは何かを考えましょう。メンバーにどのような援助が欲しいのかを直接聞くことも有効な方法です。

「安心して現状打破に挑戦したい」に共に取り組む

 最後に、「安心して現状打破に挑戦したい」に共に取り組むためには、メンバーが現状を打破できるようにサポートするステップです。ここでのリーダーの役割は、リスクを負う人に一切のペナルティが与えられないようにメンバーを全力で守ることです。

 ただし、この段階になってもチーム全員が変わることを期待してはいけません。快適さを捨てて、挑戦を通して貢献をしたいと思わないメンバーも多くいる事実は知っておくべきです。変われない人はいますし、リスクを冒したくない人も当然います。しかし、そういった人たちを軽んじたり、切り捨てたりしてはいけません。

 そのため、リーダーは人をよく見て、メンバーの個性を理解しておくことです。一部のメンバーしか挑戦しようとしなくとも構いません。ただし、挑戦者を守り応援する姿勢を他のメンバーに求めることを忘れてはなりません。傍観者や批判者が得をする組織ではなく、挑戦者が応援される組織を作るべきです。

 そして、挑戦しない人であっても、その違いを認め、受け入れましょう。挑戦に知りこみをする人であっても、彼らの強みで良い結果を引き出せるように組織を作ることが重要です。大切な点は、挑戦の有無だけでなく、メンバー全員が自分自身を真に表現し、共に成長し、組織として結果を出せるように変えていくことです。

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