「考える消費行動」が作る新しい社会

経済

本コンテンツの結論

サステナブル資本主義という考え方がある。この資本主義下では、「消費者の購買行動」が企業価値を決める。

消費者は自身の消費の影響力を認識し、価格の妥当性を投資家視点から考えることが重要である。

・消費者は投資家視点を育てるために、以下の行動を行うことが必要です。

 ①日常の購買を単なる支出ではなく、社会や自己にとっての価値提供として考える
 ②労働も自己投資の一環と見なし、市場価値の向上につながる選択を行う
 ③金融市場での投資も行い、金融市場や社会の動向に敏感になる

消費者の正しい購買選択によって、社会が必要とする会社が成長する健全な社会形成が期待できる

学びを身に付けるために実践したいこと

難易度 1: 簡単に始められる行動

1. 日常の購入をただの支出ではなく、社会や自己にどのような価値をもたらすかを考える。

2. 労働を単なる収入源ではなく、自己の市場価値を高める機会として捉える。これには、職場での経験や学習により意識的に取り組むことを含む。

難易度 2: 少し努力が必要な行動

3. 購入する製品やサービスで、対価に見合う価値を得られるかを精査する。価値のないと判断する製品は購入しない。※まずはどんな価値を期待して、その購買を行っているかを立ち止まって考える習慣を持つ。

難易度 3: 継続的な努力が必要な行動

4. 自分の資産を運用することで、金融市場や社会の動向に関心を持つ。これを通して、基本金融リテラシーを高める。

5. 経済や社会の動向に関心を持ち、それが個人の消費や投資行動とどうかかわるかを考える。これによって、より良い消費や投資の決定の判断軸を磨く。

コンテンツ本文

資本主義の法則「r>g」

 資本主義において、「r>g」という法則が近年明らかになりました。

 この法則は、フランスの経済学者トマ・ピケティが提唱したもので、資本によるリターン(収益率)が実体経済の成長を上回るという現象を指します。

 言い換えれば、資本を適切に運用すれば、労働よりも効率的に収益を上げることができるということです。この法則の背後には、富裕層や資本家が資本を増やし続ける一方で、労働者の収入がそれに追いつかないという格差の拡大という事実あります。

サステナブル資本主義とは

 社会を変革するためには、投資、労働、消費といった3要素の社会的な循環が不可欠です。

 従来の資本主義では、投資家や企業が資金提供に焦点を当ててきました。しかし、サステナブル資本主義では、消費者の行動と影響力に着目します。

 サステナブル資本主義の中で、企業の売上は資金調達の一環として捉えられます。
 つまり、消費行動は企業にとって資金調達の手段であり、ファイナンスの要素でもあります。さらに、消費者の購買が企業価値の拡大に寄与することが強調されています

 したがって、消費者一人ひとりが自身の消費の影響力を認識し、価格の妥当性を考える投資家視点を持つことが肝要です。それは、企業が提示する価格を考えなく受け入れる通常の行動とは真逆です。むしろ、投資的視点から、購買が自分にどのような価値をもたらすかを考えることが求められます。

 価値が十分にないと自分が判断すれば、購買をしないということが正しい行動と言えます。消費者の正しい購買行動によって、社会に必要な会社が成長する健全な社会形成が期待できます

投資、労働、消費の社会的循環

 投資家のマインドを育む方法は3つあります。まず、消費(日常の購買)を単なる支出ではなく、社会や自己にとってどのような価値を提供するものかを考えることです。消費の選択が、持続可能な社会に寄与する方法であることを自覚しましょう。

 次に、労働も投資と捉えましょう。適切な場所での労働経験が自己の市場価値の向上につながる視点を持つことが大切です。労働を自己投資の一環と見なし、選択的に取り組みましょう。そうすれば、自身のスキルと価値を市場で高めることができます。

 最後に、実際に投資(資産運用)を行い、金融市場や社会の動向に敏感になりましょう。

 これら3つの方法によって、投資家の視点を持った消費者として、持続可能な資本主義社会(サステナブル資本主義)が可能となります。個々の影響は小さいかもしれませんが、多くの人々が少しずつ消費行動を変えることで、大きな変化につながります。

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