心理的安全性を誤解していませんか?

組織

本コンテンツの結論

心理的安全性が高いチームであればプロフェッショナルな意見交換が可能である。

心理的安全性が高い状態は、個人が自由に振舞える、または個性が尊重されるだけの「めるい環境」とは異なる。

「心理的安全性」に加え、「目標共有」「チームへの貢献と自信」「チャレンジ精神」「チームへの愛着」「メンバー相互の信頼」「プロセスの重視」「顧客の重視」「仕事のやりがい」を同時に高めることが重要である。

学びを身に付けるために実践したいこと

難易度 1: 簡単に始められる行動

1. 次回の打ち合わせから、リーダーはチームメンバーの意見や提案に積極的に肯定的なフィードバックを提供する。

2. 他者の意見に対する柔軟性を高める。もし、自分が間違っている可能性があれば、素直に受け入れる。

3. 相手の努力や援助に対し、「ありがとう」と言葉にして感謝を示す。

難易度 2: 少し努力が必要な行動

4. チームメンバーとの定期的な1対1のミーティングを設定し、彼らが直面している問題に耳を傾け、支援を申し出る。

5. 打合せの始めに、「ここではどんな意見も尊重される」という約束を確認する。それを守るために皆で協力する意志を示す。意見の多様性を奨励するため、「話す順番」を設けるなどの工夫をする。

難易度 3: 継続的な努力が必要な行動

6. プロジェクトの区切りで反省会を設ける。何がうまくいき、何が改善されるべきかをチーム全員で話し合う。リーダーはメンバー全員が意見を言えるよう、公平な話し合いを保証する。

7. 心理的安全性の重要性を定期的に再確認し、行動規範を更新する。新しいメンバーが加わった際には、この文化を伝承する。

8. 自らが率先して自己開示を行い、チーム内での信頼関係を築く。自分の失敗や学びを共有し、他のメンバーがそれらを活かせるように働きかける。

コンテンツ本文

心理的安全性の定義と誤解

 心理的安全性は、チームメンバーが自由に意見を述べられる雰囲気を指し、単に居心地が良い状況とは異なります。率直な自己表現や議論が求められる環境であり、エイミー・C・エドモンドソン教授は、心理的安全性が高いチームであればプロフェッショナルな意見交換が可能だと述べています。

 目標達成のためには、発言に対する人格攻撃のない環境を維持することが重要です。意見や方向性の根拠を立場ではなく、論理(=確からしさ)に依存させることが重要です。この達成に心理的安全性は必須です。

 但し、誤解されがちな以下の点は全て間違いです。心理的安全性が高い状態とは、言いたいことを何でも言える環境ではありません。また、個人の提案が全て採用される環境でもありません。さらに、個性が尊重されるだけの環境でもありません。

日本の経営における心理的要因

 日本の経営研究によると、心理的安全性を含む9つの要素がチームパフォーマンス向上に貢献しているとされています。

 9つとは、「心理的安全性」に加え、「目標共有」「チームへの貢献と自信」「チャレンジ精神」「チームへの愛着」「メンバー相互の信頼」「プロセスの重視」「顧客の重視」「仕事のやりがい」が含まれます。

 重要なのは心理的安全性のみに焦点を当てるのではなく、これらの要素を全体としてバランスよく高めることです。

チームの心理的安全性の構築方法

 心理的安全性を高めるには以下の方法が効果的です。

1. 心理的安全性の重要性についてチーム全員で合意を形成する。

2. 安全な場はリーダーだけでなく全員で創造するという共通認識を持つ。

3. メンバーが自らの意見を発言する責任を共有する。

4. リーダーが意見や提案を積極的に募集し、メンバーに発言を促する。

5. チームの規範を明確にし、行動規範や約束事をチーム全体で共有する。

 これらのステップにより、チーム内の信頼を築き、協働を促進する土台を構築します。
 理想的は、メンバーが立場や職位にかかわらず問題を指摘し、共通の目標に向けて協力し合える環境です。心理的安全性は、快適なだけの環境を越え、実効的なチームワークを培うための基本要素です。

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